-白血病の治療「臍帯血移植」「末梢血移植」-


白血病の治療「臍帯血移植」「末梢血移植」

白血病の治療

白血病の治療の選択肢が広がってきました。新生児のへその緒や胎盤の血液を移植する臍帯血移植や、腕から血液を採取する末梢血(まっしょうけつ)幹細胞移植が増え、従来の骨髄移植と並ぶ治療法となりつつあります。しかし、医療機関によって治療の選択方針が異なり、治療成績の差となって表れる場合もあります。

白血病は、未熟な血液細胞ががん化して血液や骨髄で異常増殖する病気です。骨髄には血液のもとになる「造血幹細胞」があり、これが赤血球や白血球、血小板に育ちます。白血病が進行すると、がん化した細胞が増えて正常な血液細胞を作れなくなり、貧血、出血、感染症などが起きます。

そこで、抗がん剤や放射線治療でがん細胞をたたいた上で、他の人の正常な造血幹細胞を点滴し、置き換えます。どこから造血幹細胞を採取するかで、骨髄、臍帯血、末梢血幹細胞移植の違いがあります。


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臍帯血移植

臍帯血移植は、赤ちゃんのへその緒の血から集めるので提供者への身体への負担がなく、患者に合う血液が短期間で見つかるのが最大のメリットです。臍帯血は全国の臍帯血バンクに冷凍保存されています。

米欧のチームが「HLA(白血球の型)が一致した骨髄提供者が見つからない場合の治療選択肢となり得る」との研究結果を発表し、世界的にも広がっています。

国内でも保険が適用されますが、医療機関による治療成績のばらつきが大きいです。日本さい帯血バンクネットワークが解析した全国約330例のデータでは、初回の移植で3年後も再発しない患者の割合は2割強なのに対し、東大医科学研究所では約90例で7割以上と突出して高いです。

臍帯血移植は、骨髄移植を受けようとしたものの提供者が見つからず、切り替えたケースが大半です。実績のある骨髄移植に比べ、治療データの少ない臍帯血移植に賭けるのは勇気がいりますが、ギリギリまで待つほど結果は芳しくありません。

東大医科学研究所講師の高橋聡さんは「患者の状態が良いうちに移植すれば、良い成績が得られる可能性がある」と語っています。

末梢血移植

末梢血は耳慣れない言葉ですが、体内を巡る血液のことです。通常、末梢血には造血幹細胞はほとんどありませんが、白血球を増やすG-CSFという薬を注射すると幹細胞が取り出せます。両腕から採血し、血液から幹細胞だけを抜いて、残りの成分を体内に戻します。

骨髄や臍帯血と違って提供者を登録する制度はなく、兄弟など血縁者間の移植に限って認められています。

骨髄移植では、提供者は全身麻酔下で腰骨に針を刺して骨髄から幹細胞を集めます。麻酔のいらない末梢血幹細胞移植は、提供者への体の負担が少ないです。

だが、G-CSFの副作用で骨の痛みが起きることがあるほか、動脈硬化や間質性肺炎の持病がある人が提供すると、まれに病気が悪化することがあります。G-CSFの長期的な影響もまだわからない部分があります。

欧米では、骨髄移植と比べても治療成績に差はないとされますが、日本では結論が出ておらず、効果を調べる臨床試験が行われています。国立がんセンター中央病院医長の森慎一郎さんは「骨髄も末梢血も提供者に何らかの負担は出てくる。どちらを選ぶか、医師とよく相談してほしい」と話しています。


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関係サイト

日本さい帯血バンクネットワーク

日本骨髄バンク

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